【ベニテングタケ(amanita muscaria)】
主成分 | ムシモール、イボテン酸、その他の成分の複合作用と考えられている。毒成分としてムスカリン(muscarine)が含まれるが、これは含量は低く、催幻覚作用も無い。 |
投与方法 | 経口投与 |
効果 | 幻覚を生じ、嘔吐・下痢・発刊などを齎す。作用は15〜45分で現れる。1〜4本程度でめまい・軽い吐き気・眠気を感じ、色彩的な幻覚を見る。5〜10本で中毒症状はかなり激しくなり、ひきつり・酒乱様相・幻覚・視聴覚障害が起こり、最後には昏睡から麻痺に陥る。10本以上の場合はしばしば死に至ると云われるが、滅多にない。4時間以上興奮状態が続いた後、深い眠りにおち24時間以内に回復する。多量に摂取すれば死を齎すと云われているが、国内に於けるアセタケ属(ムスカリンを含む菌類)による中毒での死亡例は報告されていない。 |
備考 | 直径20〜30cmにもなることがある大型のキノコ。 傘は成熟すると平らに開き、周辺に溝線をあらわす。 ヒダは白色で密。 赤地に白い斑点を傘に持つ担子菌類。 外観はタマゴタケ(食菌)に似ているが、白い斑点(つぼの破片)を持つことから容易に見分けることができる。 ベニテングタケは古くから毒菌として知られているが、シロタマゴテングタケやタマゴテングタケ、ドクツルタケ等に較べれば、はるかにその毒性は弱い。 塩蔵するか煮こぼすと毒性を失うため、食用にしている地方もある。 国内では中部以北の山岳地帯に多く、八月〜十月にかけて針葉樹林、広葉樹林いずれにも発生するが、主にカバノキ科の樹下、特に白樺林で見つけることができる。ハエとりに用いることがあり、別名アカハエトリタケと呼ばれることもある。 ヨーロッパのラップランド、カムチャッカのコリャークなどはこのキノコを宗教儀式に於いて酒代わりに用いていたという記録がある。 シベリアではウォッカの酔いを深めるのに使われたとも云われている。成分として含まれるイボテン酸は、グルタミン酸ソーダの10〜20倍ものうま味があり、たべると実にうまいらしい。 ハラタケ目テングタケ科の担子菌類。 |