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幻覚発動薬 Hallucinogens


【薬物と芸術】

 宗教的儀式だけでなく芸術面に於いても薬物の影響は大きい。
 1850年代にパリに「Le club des Hachichins(ハシッシュ喫煙者のクラブ)」を作ったフランスの作家グルー
プ(ボードレール、ゴーチェ、大デュマ等)は有名である。
 ハシッシュはボードレールの精神病とその死の原因であると考えられているが、この説は彼がアル
コール中毒患者で第三期梅毒にかかっていた事実を見落としているため有力とは云えない。
 医学的にはカンナビス薬物による人間の死亡ケースは報告されていない。
 ロバート・L・スティーブンソンは、コカインの勢いを借りて「ジキル博士とハイド氏」を三日三
晩で書き上げたが、奥さんに貶されたのを怒って暖炉で燃やしてしまい、次の三日三晩で現在の作品
を書き上げたと云われている。また、「シャーロック・ホームズ」を書き続けたコナン・ドイルは、
かなりのコカイン中毒にかかっており、作品にもその影響が認められるとする見解もある。
 ヨーロッパ全域に広まった「マリアーニのコカワイン(ヴァン・マリアーニ)」は、コカ葉エキスを配合した
コカ飲料で、文学者も音楽家も画家も、皇族も貴族もみなこぞってコカワインをたしなみ、
精神の高揚や疲労回復をはかった。 音楽に於けるLSDやカンナビス薬物の影響は、既に知られて
いるようにサイケデリック・ムーブメント、ウッドストック、パンクに代表される。
 MDMA(エクスタシー)とハウスの相互関係も興味をひく。多くのジャズ演奏家はマリファナの
影響下では良い演奏をすると云っているが、これは客観的には確認されていない。
 筆者の個人的な見解であるが、表現者たる立場の人間、すなわち芸術家が事物や人間の本質を模索
する心理は純粋なものである。
 彼らにとってその手段は、シュルレアリスト達が選択したオートマティスムに基づいた方法であっ
たり、薬物を使用する方法であったり、自らの夢にそのモチーフを求める方法であったり、または
心霊的な儀式からインスピレーションを得る方法であるなど、ありとあらゆる方法が採られることは
必然であり、またそうあるべきである。
 それら手段の選択は、道徳的或いは法的な制約の干渉を受けるべきではなく、物理的及び精神的に、
採るに可能な手は試みるべきであり、またそれは表現者に与えられた権利でさえあると考える。
 表現者はその宿命と権利を背負って世に生をうけているのだから。
 表現者が事物や精神の本質を求めることに貪欲でなければ、芸術を生むことはできない。
 彼ら自身が、最もこの理を痛いほど感じているであろう。

                                        Z.Mastabe

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